石黒浩VS平田オリザ対談

ロボット演劇から人間に迫る

 石黒浩教授と平田オリザ教授の対談が6月17日、阪大21世紀懐徳堂、朝日カルチャーセンターの共催で阪大中之島センターにて行われた。ロボット演劇から人間のコミュニケーションの本質に迫る対談に、学生をはじめとする参加者らは真剣に聞き入っていた。

【6月24日 大阪大学POST=UNN】

写真
【写真】ロボットと人間について語り合う平田教授(左)と石黒教授(中央)(6月17日・阪大中之島センターで 撮影=黒木美沙)
 会場ではまず、知能ロボット研究の第一人者である石黒教授と演劇家の平田教授が共同で制作したロボット演劇「働く私」が上映された。劇中の2体のロボットがまるで人間のように、俳優の動きや台詞に反応してあいづちを打つ姿に参加者からは驚きの声が上がった。
 続いて対談に入り、平田教授は「ロボット演劇は世界で最初の魅力的な素材と感じた。観客にリアルを感じさせるために動作における『間』を意識してロボットを0.1秒単位で調整した」と話した。更に「ロボットがまるで心を持っているかのように演技しているようだった」という参加者の感想に対し、「ロボットはプログラムに従って動いただけで、彼らが心を持つことは実際にはあり得ない。同様に、演劇指導において私は役者に自発性は求めていない。しかし、不思議なことに観客は役者に心を感じている」と自身の演劇観を述べた。
 それに対して石黒教授は「人間とは何なのかと考えるためにロボットの研究をしてきた。人の心が社会や環境に依存するように、ロボットもプログラムなどの周りの影響で作動するものであるからロボット演劇は実現可能だと思った」と話した。
 その後、対談の話題はコミュニケーションに及び、石黒教授は「他人の内面を理解することは不可能であり、人間は他人に対しては予測に従ってしか行動できない」と指摘し、平田教授は「コミュニケーションは、他者の心情を自分の経験と結び付けて共感することから始まる」と述べ、「現代の若者は小さいころからコミュニケーションの機会が少なく、苦悩している。演劇などを通して他人との共感を無意識に学ぶ必要がある」と語った。
 最後に両氏は「自分の分野にとらわれずに新しいものへチャレンジする人材を育てたい」(石黒教授)、「阪大を日本一文化的な大学にしたい」(平田教授)とそれぞれ今後の意気込みを述べた。 【多田隈翔一】